虹色研究部 - ニジケン -

「それが面白いぐらいにダメでさ! 勿論カップルじゃないし、当たり前なんだけど。アピールタイムっていうのがあって、その時に紀香の肩に触れたら思いっ切り殴られちゃって。一般のお客さんも驚いてたよー!」


「はははっ!」と笑った彼の表情は、温かくてとても楽しそうだ。


「じゃあ、今年はリベンジなんですね?」


私の言葉を聞いた彼は、ピタリと立ち止まる。

釣られるように私も足を止めると、彼はクスッと笑みを漏らした。


「リベンジ? そっか、それはいいね。でも今年は本当に勝てそうな気がする。……どうしてかな?」


彼はニヤ、と含みを持たせた笑みを浮かべた。

その瞬間、ぶわっと冷たい風が、私達の間を吹き抜ける。


「楽しみだなー。文化祭も、コンテストも」


そう呟いた國枝先輩は、ブレザーのポケットに突っ込んでいた手を出すと、温める様にはーっと息を掛け、再び前を向いて歩き出した。


意外と広いその背中を目で追うと、きゅっと心が狭くなるような、不思議な胸の窮屈さを感じる。

私はそれを掻き消すかのように、ぷるぷると首を振り、先を行く彼を追いかけた。