「あれれ、センセー。三年二組の田中君と山崎君がおいたしてるよー」
背中の方から、ジャリッと砂を踏む足音と、いやに棒読みの低い声が聞こえた。
「あっ、あっ……」
「お、おい!」
顔を上げれば、青ざめた二人が驚きの余り身体を硬直させている。
目と口を大きく開いて、私の後ろにいる人物を見つめていた。
――私には、振り返らなくてもわかる。
「これはこれは。うちの可愛い新入部員の乃季ちゃんがお世話になってるみたいで」
そう言ってふわりと抱きしめるように、後ろから私の首に腕を回してきたのは。
「く、國枝先輩……」
「そうです。時にリレーの選手、時に救世主の國枝先輩です」
煮えたぎる様に熱くなっていた胸ごと、柔らかく包まれていく気がした。
じわりと温もりに変わっていく。
