受話器を持ったまま、守が静かに言った。

私はいつの間にか止めていた息を吐き出す。
心なしか、部屋が明るく、暖かく感じた。



でも、

もし放送がなかったら。


私達はどうなっていたのだろうか…

私は無言のまま、今はもう鳴る気配の無い黒電話を見つめた。

「あれ?」

「どうしたの?」

私は、ある事に気がつき、途端に背筋が寒くなった。

「繭ちゃん?」

「コ―ド…」

私は、電話の後ろの壁の辺りを指す。