ジワリジワリと、前方に進んでいくマクナイト分隊。

脱獄囚バニング・ロスはグリーンベレー出身、こういったジャングル戦やゲリラ戦のプロフェッショナル。

ジャングル戦は、植物によって視界が確保できない為、大規模な会戦は行えず、遭遇戦を繰り返しながらの戦闘になる。

また伏撃や罠を仕掛けるのに適している為、ゲリラ戦を行う作戦戦闘としても歴史上しばしば利用されてきた。

バニングはそういった戦闘に特化した兵士として、第四次世界大戦の南米戦線時に、多大な戦果を挙げたのだそうだ。

だとしても、である。

(相手はせいぜい銃1挺持って脱獄した受刑者が2人。こっちは装備を整えた精鋭分隊だぜ?)

グライムズはタカを括る。

数々の激戦を潜ってきた歴戦の兵士とはいえ、油断してしまうのは、やはり彼の若さ故か。

「……!」

そんなグライムズが口を背後から塞がれ、音もなく草むらの中に引き摺り込まれたのは、当然隙があったからに他ならなかった。