延珠の様子がおかしい。



「延珠?」


中から返事はない。


-カチャ


カギがあいてる。


延珠の家に入ると
そこにはヒカリさんとジュンが
部屋を片付けていた。



「これどういう事だ?」




俺がそう言うと
ヒカリさんは手紙を渡してきた。



ピンクの可愛らしい封筒。



「延珠からだよ。」




ヒカリさんに言われて
俺は手紙を開いた。



***獅狼へ***


お世話になったお礼も言わず
黙っていなくなってごめんなさい。


あたしの喉に腫瘍があるんだって。
かなり進行してて日本では治療法がないの。
でも海外なら30パーセントの確率で
治せるかもしれない。


あたし獅狼と生きたい。
もう一度歌いたいの。


生きて帰ったら付き合ってなんて言わない。
あたしの事忘れていいよ?
恋人作っていいんだよ?


でも獅狼があたしを
見つけてくれたら嬉しいな。

最後までワガママでごめんね。


もしまた奇跡が起きたら
その時は会えるから。
それまでお別れだね。