信じたくなかった。
もう延珠がいないなんて…



俺はそっと延珠に近づいた。
延珠はまるで眠ってるだけで
目を覚まして



『獅狼?どうしたの?』



そう笑いかけてくれる
そんな気がした。




「あの幻は延珠が起こした奇跡なのか?
俺に会いに来てくれたのか?」




俺の問いかけに延珠は答えない。




「こんな事なら逃げ出したりしないで
ずっと一緒にいればよかった。」




「獅狼くん?あの日があるから
今があるんだとしたら
延珠は何一つ後悔なんてしてないよ?」



ヒカリさんは泣いている
俺にそう言うと
延珠の髪を優しく撫でた。



つらいのはヒカリさんも
みんなだって同じなんだ。