「彩奈【アヤナ】っ」



反射的に振り返る。きっとこの声は……



分かってるけど目を凝らす



太陽の日差しが邪魔して見えなかったけど目が慣れるとそこにはあいつがいた


「おはよ」


ニッって笑うとなくなるくらい目が細くなるその彼



「おはよう。晴樹【ハルキ】」



あたしが笑顔を向けるとまたニッと笑う


あたしはこの笑顔が堪らなく好きだ



「一緒に行こうぜ」



そう言って私の横に並ぶ



「うん」



「てかお前相変わらずチビだなぁ」



そう言って頭に手を乗せてきた


突然の行動にあたしの頭はパニック。きっと誰が見ても分かるくらい真っ赤だろう


「うっ、うるさい!毎日牛乳飲んでるもん。てか、あんたに言われたくないっ」


あたしは本当にチビで高3にもなって155センチしかない。


でも晴樹だって男にしてはチビだ


さらにチビで子供っぽいのに、オレンジ色に近い色の髪が余計子供っぽく映る


「そうかなぁ。でも俺心は広いぜ」


そう言って親指を立てる晴樹



「ばかじゃないの?」



あたしは笑った



これがいつもの朝



別に約束してるわけじゃないけど、高1から仲が良くなったあたしらはほぼ毎日一緒に登校している

たまに、付き合ってるとか勘違いされるけどそれも悪くない



――だって晴樹が好きだから


でもきっと気づいてないだろうし、気づいてもらうつもりもない



このままの関係でいいんだ。これで十分