「あ、あのっ。さようなら!」


聞こえてるかな。


ドキドキしながら返事を待つと、


後ろは振り返らないまま、ひらひらと手を降って返してくれているのが見えた。


後ろ姿を見つめているのが虚しくなった。


ただ傘を貸して、


出会ったのはたった一日前で、



今日会ったのももほんの少しの時間で。


『高杉さん』のこと何にも知らない。


彼の方も私のこと何にも知らない。


まだ友達にもなってない。


ただの他人。


なのにどうして、離れるのが寂しくなるんだろう。