PM6:30

駅の階段を降りてくる長身の男性を見つけた。


右手には私の傘を持っている。


長めの流行りのコートににスラッとした足が映えるスキニーパンツ。


まさしく彼だ。


彼も私を見つけて、あ。という顔をして笑顔で駆け寄って来た。


「昨日は傘ありがとう」 


「いえ」


実際言うと私のおせっかいでもあるし。


「助かったよ。昨日大事な用事があったのに傘忘れちゃって。」


ほんとにありがとう。と付け足した彼は、昨日よりも明るく感じた。


ーあれ。


なぜだか彼の笑顔を見ると、胸がぎゅうっと締め付けられた。


ーなにこれ。



「あ、まだ名乗ってなかったね。
 俺、高杉潤」


「私、七瀬紫雨です。」