あの日、雨と傘と君と


「じゃぁ、ばいばい」


「ありがとうございました」


ペコッと、深々と紫雨は頭を下げた。


彼には早く家に入れと言われたけど、


彼の姿が小さくなって見えなくなるまで見送っていた。


一緒の方向だしって言ってたくせに、全然真逆じゃん。


来た道を戻っていく彼に胸がきゅっと締め付けられた。



星空の下、軽く小走りして帰って行く彼はなんだかキラキラ輝いて見えた。