あの日、雨と傘と君と


思うがままに体は動いていた。

止まらなかった。


「あの!」

ぎゅっと彼の着ている服の裾を掴んでいた。


言うんだ。



「…この前、今度ご馳走してくれるって云ってた話、いつにしますか?」


って、なに可愛くない言い方してんだよ自分!


でも、なんでもいいから会える口実が欲しかった。


必死に探した動機だけど、また会いたいから。



「そうだね。いつにしようか。バイトがない日はー…。」


彼はしばらく考えた。


「今度の日曜空いてる?」


「空いてます!」


今度の日曜。


今日は水曜日だから4日後。


「詳しいことはまた連絡するよ」


「あ、でも連絡先電話しか知ら…」


「LINEとかやってる?」


「やってます!」


じゃあ交換しよう。と、お互いスマートホンを取り出す。


実は密かに欲しかったLINEの連絡先。


意外にあっさりもらえたことに喜びが走る。