あの日、雨と傘と君と

 
「私の家、ここです」


普通の住宅街にある一軒家。


七瀬という表札がついてある。



「へー。でかいね」


「今日はありがとうございました」


「いやいや、こちらこそ」


「…。」


謎の沈黙が続く。


でもまだ家に入りたくないなんて考えてた。



「風邪ひくから、家入りなよ」


ぴゅうっと吹く冷たい冬の夜の風はスカートの中に入り込んできて、寒い。


でも…。


今日で最後になっちゃうのかな。


たった2回で会えなくなっちゃうの?


彼の顔をじっと見つめる。


もっと話したり、もっと高杉さんのこと知りたい。




今離したらいけない気がした。


乙女の勘ってやつ。


なんか分からないけど、


ーまた会いたい。