あの日、雨と傘と君と


その後少し他愛のないおしゃべりをして、あっという間に時間は過ぎてしまった。


時刻は午後7時半を過ぎていた。


「もう遅いし、そろそろ帰ろうか。送ってくてよ」


「え、でも、悪いですよ」


必死にお断りをすると、


「いいんだよ。こーいうのは男の役割だからさ」


しかも一緒の方向だし。と、


にこっと笑い、私の頭にぽんと手をのせる。


私のドキドキも高鳴る。


またくしゃっとした笑顔にやられてしまう。


反則ですよ…。


優しくて、あったかくて………。



夢見が丘駅から徒歩15分程の家までの道のりを一緒に歩いた。


車の多い道ではさりげなく私を内側に入れてくれたり、


小さな優しさが嬉しくてたまらない。


隣で歩いてる…っていうことが幸せで、どうしても表情がゆるんでしまう。


会話はあまり続かないけど、それでも、もっと家が遠かったらなあって、ずっと考えてた。