「全然臭くないよ。むしろ良い匂い」
ありがとね、と、彼はスン、とハンカチに軽く鼻を揺らす。
「紫雨ちゃんと同じ匂いだね」
「えっ…。」
ドキッ。
『紫雨ちゃんと同じ匂いだね』
それって私の匂いかいでるってこと?
どう捉えたらいいのだろうか。
反応に少し困り、ただ顔を赤らめたまま紫雨はその場で硬直している。
「って、俺なんか変態臭いね」
へへっと笑う高杉さんに私は必死のフォロー。
「同じ洗剤なんで、そりゃあ同じ匂いですよ!」
違うんです。
変態と思って引いたわけじゃないんです。
ただいちいちドキッとしてしまっただけです、ごめんなさい。
心の中は言葉とは裏腹に焦りでいっぱいだった。


