『どうしたの?なんかあった?』
彼の声は優しくて、なにか心配してくれてるみたいで、
変に緊張してしまう。
早くなる鼓動を抑えながら
「あ、さっきー…」
高杉さんがハンカチを落としたこと。
それを私が拾った。
ということを本人に説明した。
「だから届けに行きますよ。」
『いや、悪いからいいよ。俺が取りに行く。落としたの俺だし』
あ、でも紫雨ちゃんの家知らない。と、
高杉さんはしばらく考え込んだ。
『ー…ほんと悪いんだけど、届けてもらってもいい?』
「もちろんです!」
自然と紫雨の顔には笑顔がこぼれた。
なんか私、今すごくドキドキしてる。
「明日、高杉さんが平気なら届けに行きますよ。」
『え、ほんと?俺明日6時以降なら大丈夫だよ』
「じゃあ6時半にいきますね。待ち合わせは…」
待ち合わせ…
それは昨日今日と出会った
「夢見が丘駅の下で。」
『了解!じゃあ、おやすみ』
ピッという音と共に高杉さんの声は消えた。
案外さっぱりしてる人なんだな。
さすが大人。
早く明日にならないかな。
早く授業終わったりしないかな。
赤く染まる頬を冷え性特有の冷たい両手で冷やしながら
ベッドで寝てしまった。
ー早く明日が来ないかな


