信じられなかった。空耳かと思った。レナが、ぽつりと言った。儚くて夜に呑み込まれてしまいそうなくらい小さな声だった。けど、俺の耳はそれを逃がさなかった。


「………は?」


思わず呆けてしまった俺。その表情を見て、レナは自分の言った言葉に気づいたんだろう。


「な!なんでもないから!なんでもないの!おやすみっ!!」


今までぎゅっと抱きついていたくせに、急に離れてベッドの端まで距離を取り始めた。背中を向けて布団を抱え込む彼女。その表情をすれば自然に笑みが漏れた。


可愛い。ツンとした雰囲気のレナが甘えたになる。その違いさえも愛しい。


まあ、大事な言葉を女に言わせる俺のヘタレさには自分自身も呆れるが。



「な?レナ。俺のこと好き?」



極力怖がらせないように、優しくそして甘く囁く。そっと近づきレナの背中に抱きつく。レナの身体が強ばったのが分かったけれど、それも一瞬で。俺を受け入れてくれることが分かり、嬉しいという感情が溢れ出す。