「お兄ちゃんは、大学にも行けって言っているけど私は働きたいの。お兄ちゃんに恩返しがしたいの」 ずっと我慢していたお兄ちゃん。 もう解放してあげたい。もう大丈夫だから。好きに生きて、と。私は、お兄ちゃんの重荷にはなりたくない。 ぼろぼろと涙を流す私を、慰めてくれる颯真。私が抱き付いているからその表情を伺いしれない、何となく優しい表情をしているんだろうと感じた。 「安心した…」 「え?」 ぽつり、颯真が言った。