そんなことのあった日の夜。
私は亮先生のことを考えていた。
初めて会ったのは、屋上。
私の名前を知っていた亮先生。
私がよく屋上へ来ていたことも知っていたみたいだった。
先生にかけられた白衣の温もりは、今でも覚えてる。
武田先生に話せないことも、亮先生にはつい話していた。
気づくと、話していた。
私に対して、亮先生はとことん話しを引き出そうとする。
つい私も答えてしまっていた。
あの時は、少しイライラしたこともあった。
自分の気持ちをツラツラとしゃべってしまう自分に、戸惑いを覚えていた。
でも、心のどこかで、自分の本当の気持ちというのを確認できた。
それはすべて亮先生のおかげだった。
私が移植手術をしたとき、亮先生は、ずっと私のそばにいてくれたって、
お母さんから聞いた。
武田先生から、亮先生が私のことを好きって。本当かわからないけど。
それを聞いたときから、私はしっかり亮先生を意識してきた。