術後から二回も傷が開いてしまった上、リハビリは二週間もあとになってしまった。
後は、食事をまともに摂れるようになれば、退院まであと少し。
退院したからと言っても、しばらくは病院通いは終わらないみたいだけど。
武田先生とお母さんの件が終わり、私は平凡な入院生活を送っていたんだけど。
「綾ちゃん。
もうすぐご飯の時間だけど、どこに行くの?」
リハビリが終わった今、自由にベッドを抜け出すことができる。
一応、部屋で安静にしていないといけないんだけど。
私がそんなことするはずがない。
だけど、なぜだろう。
亮先生には、私が抜け出すことがばればれ。
防犯カメラでもこの病院はあったのかと、あたりを見回すけど、何もない。
ベッドに盗聴器でも仕掛けられているのかと、ベッド下を探してみたけど、何もなかった。