ガチャン
本当は……
飲んじゃいけないけど。
私の体は、もうこれ以上良くならない……。
これ以上悪くもならない……きっと…。
いつかきっと……
あの泣いていた夫婦の姿のように、私たちにも同じように訪れる。
そう思うと、何もかも……どうでもよくなっていた。
「ゴクッ」
ずっと飲んでみたかった甘いジュース。
最後に飲んだのは、いつだろう。
まだお父さんがいたときだったかな。
全身が一口のジュースで震え上がった。
あっ。この感じ。
久しぶりに起きた。
でももう、何も怖くない。
これ以上悪くなることは……ない。
私は自分に大丈夫と言い聞かせ、一本のジュースを空にした。



