『由宇ちゃん!』






『奏乃。どうしたの?』







『今日新しくできたカフェに行ってみないかと思って!』






『…いいわよ。じゃあ放課後ね。』








私は平山奏乃(ひらやま かの)。
東高に通う2年。




今日は仲良しの黒崎由宇ちゃんと一緒にカフェに行くことになったの。










『奏乃。』







『由宇ちゃん!お待たせ!行こう!』







『相変わらず危なっかしいわね。もう少しゆっくり歩いたら…』







《ドンッ》







『きゃっ…』







『ほら、言わんこっちゃない。すいません。奏乃大丈夫?』






『すいません。大丈夫ですか?』







私に手を差し伸べてくれた人。
心配そうにこっちを見る由宇ちゃん。







『あ、すいません…!こちらこそ急にぶつかっちゃってごめんなさい。』






『いえいえ。』







『おーい。和泉。席さー、4人がけあと1テーブルしか空いてないんだってよ。急げよ。』





『わりわり。じゃあ、これで。』







『由宇ちゃん。あと、1テーブルしかないって。…今日は諦めよっか。』






私は立ち上がりスカートをパンっと叩いて、由宇ちゃんの隣に走る。






『あ、もしかしてここのカフェ入ろうとしてました?』






そう言ってくれたのは、さっき手を差し伸べてくれた人。






『あ、はい。だけどいっぱいみたいなんでまた今度来ます。ね、由宇ちゃん。』






『ええ。奏乃大丈夫?』







『うん!今日は別の場所に、』






『よかったら相席しませんか?ちょうど四人席みたいだし。な、智也。』







『あ?おう。どうっすか?』







『でも…迷惑じゃないですか?』







『全然。さっきぶつかっちゃったし、ぜひ。』







『じゃあ…』








成り行きで知らない人と相席することになりました。