「めっちゃイケメ~ン。一度でいいから、あんな超イケメンに抱かれてみた~い」


里奈さんの目はしっかりハートマーク。


同業者やモデルなどで“イケメン”と呼ばれる種族はお腹いっぱい見慣れているはず。


そんな彼女が言うイケメンって……。


樹は示される方を見た。


イケメンだという男の顔はよく知った人物。


樹の親友 瀬戸 満(せと みつる)が勤める高津書房の代表取締役専務である高津 大和(たかつ やまと)だった。


三十代という若さで大手出版社の重役にのぼりつめた実績といい、誰もが羨むルックスといい、所謂……非の打ち所がない男。