それから、数メートル歩くと白い乗用車が一台停まっているのが見えてきた。 ただの住宅街にはとても違和感がある高級車。 ピカピカに磨かれた車体は洗車したてだということが窺える。 樹は駐車場に入り、車のそばまでやってくると窓ガラスをコンコンと軽くノックした。 「樹ちゃん、久しぶり」 彼はすぐに車からおりてきて樹を迎える。 どこかのお嬢様にでもなった気分。 「ありがとうございます」 樹は会釈して助手席に乗り込んだ。