「ねぇ南さん…?」


「ん…? どした?」


「僕…、記憶、戻るのかな…? いろいろ迷惑…かけてるよね」


そんな顔しないで…。お願いだから、そんな哀しい顔しないで…


「大丈夫…! きっと戻るよ。それにね、迷惑だなんてこれぽっちも思ってない。だからさ、そんな顔しないで、前向いて歩こ…?」


「…うん。情けないよな~。こうやって、南さんに何度励まされてさ…」


空を見上げる健。「そんなことないよ」と小さくつぶやきながら、あたしも空を見上げた。


雲がオレンジ色に染まっている。微かに飛行機雲が見える。一直線に伸びる飛行機雲…


これからも、あたしの気持ちは変わらない。そんな思いを抱きながら、しばらく2人で空を眺めた。