「ほら…帰んぞ!」
「あ…、うん」
何人かに見られたかもしれないけど、今さらどうしようもない。
堂々としてればいいんだ。
とは言え、やっぱりハズイものはハズイ。とりあえず、帰えろってことで…歩き始めた。
「…待った?」
「え…? う、ううん」
「そっか…」
しばし沈黙。ヤバッ…
会話が続かねぇ…
何話したらいいんだろ?
そんな沈黙を破ったのは長谷川だった。
「…な、中村くんは…その、クラスで何か言われたりした?」
「い、いや? 特に言われなかった」
「そっかぁ! 良かった! 私ね、何か言われたりするんじゃないかって、すっごく心配だったの」
「オレも…、実は心配だった」
「中村くんも…?」
「そ。オレ、意外とそういうの気にしちゃうタイプでさ」
「ふふっ…」
「わ、笑うなよー」
一気に紅潮するのが分かった。

