校門を出ると、真っ正面に夕陽が見えた。
「今日の夕陽、すっごくきれいじゃない?」
「そうだね。今日はよく晴れたからかな」
「そうかも! さすが浦上くん! 物知りだね。
あっ、見て見て! ほら、あたしと浦上くんの影」
細長い僕と南の影がゆらゆらと揺れていた。
「あっ、本当だ。それにしても長い影だね」
「ほんと! あっ、影がくっついた!!」
「ほんとだ。もう陽がくれるんだね」
「…、そうじゃなくて…」
「え?」
「何でもない。浦上くんには、まだ分かんないよね」
「何がさ」
「ううん。なんでもないの」
「何だよ。教えてくれてもいいのに」
「ダメダメ! 今の浦上くんじゃまだダメ。もうちょっとしてから、ね?」
そう言うと、南はニッと笑った。
「何だそれ」
南は何を言いたかったのだろう…。

