「旦那が死ぬ時にね、
俺のことは忘れてくれ、
尚と幸せになってくれるのが俺の幸せだ、
お前の不幸ヅラなんかみたくねー、
じゃねーと未練ありすぎて成仏できないだろ、
って言われたのよ。
そりゃ最初は馬鹿なこと言わないでって言い返したわ。
けどね?
旦那の立場に立った気持ちで考えたの。
私もきっと同じことを尚に言うなーって。」
でもそれは尚くんのお父さんの話で尚くんが言った訳じゃないでしょう?
私が思った言葉は声に出さず飲み込んだ。
「その話、尚にもしたらね、
俺もそう言うかもなーって言ってたわ。
やっぱり親子は似るのよね。」
え?
「なつめちゃん、
気になってる人いないの?」
「…私には尚くんだけです。」
「あはは…。今はそうだよね。」
苦笑いをされた。
「でも尚と同じぐらい大切な人が今後、
現れると思うの。
そしたら紹介してくれる?」
私は返事ができなかった。

