私何かやらかしたっけ。
草葉の陰がいけなかったの? そんなとこに駄目出しなの?

ぐるぐる考えていたら、司さんは大仰に、はあ、と深い溜息を吐いた。



「いー加減気付いてよ、橘さん」

「はい? あれ、急に苗字呼び? さっきまで美咲ちゃんて」

「俺の顔、見覚えない?」

「綺麗なお顔だと思います」

「そうじゃなくて!」



彼は妙に苛立った様子で、表情を険しくしている。

何なのこの急転直下。
戸惑う私の腕を、彼はぐい、と引っ張った。



「ちょっと一緒に来て」



え? え? あわわわわ…!