「色を沢山使いましょう。ぱっと見た時に思わず笑顔になるような。それから、渡す時に司さんが一番カッコ良く見えるようになるのを」
「頼もしいな」
彼はとても嬉しそうに表情を綻ばせてくれる。
誰かを喜ばせる事ができるって、仕事じゃなくてもこんなに幸せな気分になれるんだ。
花屋さんの店内を巡る私の足取りは、自然と軽くなる。
沢山色を使うなら、どぎつくならないようにパステルカラーを意識しよう。
白いデイジーを散らすと可愛いかも。
薔薇は、紅茶のカップみたいに丸く咲いているのがいい。
ブルーを使うならネモフィラはどうだろう。
迷ったら司さんと相談して、添える花々を厳選していく。
「マーガレットの花言葉はね、"真実の愛"らしいですよ」
「あ、じゃあそれ入れとこう」
「さりげなくノロケてますよね、それ」
「滅茶苦茶惚れてるもん」
えっへんとばかりに真顔で言われたら、妬くより先に笑ってしまう。

