「よく分かりませんけど、私で良かったら。えーと、……、司(つかさ)さん」 やばかった。脳内で王子王子言い過ぎて彼の名前が一瞬出てこなかった。 でも確かに合コンで他の子がそう呼んでいたから間違いない。 隣の彼はしばらく私の顔をじっと見て、 「うん」 何だか嬉しそうに答えて小さく笑うと、私を促すように歩き出した。 ポケットの中の私の手を、ぎゅっと握って。