優しくて、スタイルが良くて、頭が良くて。

当たり前に仕事もできて。

イケメンではないんだけど、笑顔が素敵で。

笑うと目尻に皺がよる。

低くて、甘い声で。



「いらっしゃいませー!」

彼と一緒のシフトだとなぜかウキウキして、いつも笑顔でいれた。

もともと器用な方だから、仕事はすぐに覚えた。

うちの店は、新人はクローズの時間はシフトにいれてもらえないんだけど。

特例で1カ月過ぎた頃から、まだ研修期間なのにクローズまでやらせてもらえた。

クローズは2人。

まだ新人だから、シフトに入るときには、教育者の石井さんとが多い。


クローズの日には必ず、家まで送ってくれる彼。


「佐藤さん、いつも楽しそうに仕事するね。」

「だって、楽しいんですもん!みんな優しいし、ここで働いてよかったなあって。」

「俺もさ、本当そう思ってる。しかし!佐藤さんみたいに仕事覚えるの早い子、今までみたことないよ。」

「そうですか?きっと、石井さんの教え方がうまいからかなぁ!てか、いつも送ってもらっちゃってすみません…。。」

「いいのいいの。通り道だからさ。危ないでしょ?女の子がこんな時間に1人じゃ。」

家までの帰り道、ゆっくり歩いても10分。

本当は知ってるんだよ、いつもわたしが家に入った後、また来た道を戻って帰っていくこと。