新月の輝くとき


空き教室を出た私達は、廊下で劇の特訓にいそしんでいた。

「お主の刀で千本目。この弁慶、お主に勝負を申し込もう。はい、次、牛若丸のセリフ。神崎!」

「えぇっと……僕の力でかの有名な弁慶を倒せるのだろうか。しかし、街の人々のため!えぇい!弁慶、承ったぞ。」

〝中盤の熱い対決の前にした決め台詞〟のところで男子学生が私に声をかけ、軽く肩を叩いてきた。

「お、清宮じゃん。」

「はぁ?私みたいな女の子をクソ男と見間違えるなんてあんたの目、腐ってんじゃないの?…」

と言いかけて、はっとして口をつぐむ。

そうだ、文化祭の間は私が清宮でした。

恐る恐る清宮をちろりと盗みみると、ビシバシと私に鋭い視線を投げつけている。

誰よ、こいつ?と私は、清宮に目で必死に訴える。