私が満足そうに頷いていると、背後から肩を軽く叩かれた。

「恵、どうかした?」

恵は、私の耳に口を寄せる。

「ねぇ、小夜。小夜って、あの清宮くんと友達なの?」

私は、少し困惑しながら答える。

「友達では…ないね、うん。いや、全くもって違うよね、うん。っていうか、〝あの清宮くん〟って何?有名人なの?」

「は?清宮くんってめっちゃ有名人だよ。ほら、漫画でよくある〝バレンタインに下駄箱からチョコの雪崩が…〟の現実世界の唯一の体験者だよ!」

そんな人、現実世界に存在したんだ、と呑気に考えていると学級委員にバシッと目をつけられた。

「そこ!関係のない話しないでください。」

「「はい!すみませんでした!」」

私達は、素直に揃って謝ったのだった。