新月の輝くとき

「小夜っ。今回のテストでわからなかったところはどこらへん?私、教えるから!」

恵は涙を溜めた目で訴えるが、世の中には尋ねられても困る質問があるものだ。

私が恵の質問に答えるとすれば〝わからないところがわからない〟もしくは〝全てがわからない〟である。

世間が教科書と呼んで教えを請うものは、〝わからないこと〟に〝わからないこと〟を重ねることでその形を成しており、私にとって異国語の本のように思えた。

私が返答しかねていると、背後で聞き覚えのある声がして、私の気分を悪くさせた。