刀を横に流すようにして握っている手のひらも汗でべたつく。

「おいっ、まだっ…走れるかっ?」

私のすぐ背後を走っている男が私に尋ねる。

「えぇ…平気よ。」

そう答えたが、本当のところ、自分の体力があとどれほどもつか予測できなかった。

声の調子からすると彼もかなりきつそうである。

私の炎の中で研ぎ澄まされた感覚が足元に微かな振動を感じとった。

静かに近づいてきたつもりかもしれないけどさぁ…

「清宮っ、構えて!左前方に注意」

背後の男に声をかけると、私も刀を構えた。