辺りを静寂が包み込む。

心なしか、パチパチッと炎の弾ける音が大きく聞こえた。

熱風が頬を掠めた。

また一歩と私達の方へと近づく酒呑童子の足が浮き上がる。

その足が地に着く瞬間、清宮と軽く視線を交わすと、私は、酒呑童子に向かって駆け出した。

酒呑童子という〝標的〟だけを真っ直ぐ見つめて…