新月の輝くとき

バレンタインのお返し
(倍返し、三倍返し、と続く予定)

三月上旬の寒さが少しずつ和らぎはじめたある日。

小鳥の鳴き声に、布団の中で、うっすら瞳を開くと〝ふきのとう〟が見えた。

「春か……」

何故だか〝喜び〟が込み上げてきて、布団からゆっくり身体を起こした。

いつもより身体が軽く感じる。

肌を掠める風も、いつもより暖かく優しく感じた。

そして、私、神崎小夜は、いつもより少しだけ早く家を出たのだった。