牡丹編

神崎小夜(以下 小)
牡丹(以下 牡)

小「なんで、なんで、いるんですか!牡丹さん!朱正さんと会えて成仏したんじゃないんですか!」

牡「もう少し、地上界にいようと思って」

小「で、朱正さんは?」

牡「清宮の坊っちゃんのとこよ。明日、神崎神社の前で待ち合わせてデートすることになったの♡〝待ち合わせデート〟ってやつよ!」

小「惚気話は、そこまでにして…いつまでいすわるつもりですか?」

牡「そんな、人を邪魔ものみたいに!信じらんない!」

小「だって、邪魔ですからね。私、宿題して寝ますね。疲れてますから」

牡「なんやかんやいって〝さっちゃん〟って優しいなぁ〜。私のこと、泊めてくれるんだぁ!」

小「〝さっちゃん〟?」

牡「え?駄目?」

小「駄目、鳥肌立つ…」

牡「同居人なんだからさ、仲良くしようよ」

小「仲良くって…」

牡「ほらほら、恋ばな、恋ばな!でね、朱正さんがね…」

神崎小夜は、この話が明け方まで続くことになることをまだ知らない。

そして、次の日、寝不足で苦しむことをまだ知らない。