新月の輝くとき

牡丹が、朱正に腕を絡める。

「朱正さん、デートしましょうよ♡ね?」

「…はい」

牡丹が真っ赤な朱正を引きずるようにして、連れ出す。

振り返りざま、牡丹が私の耳元で小さく囁いた。

「私〝妖刀 新月〟を朱正さん以外の人に握らせることを許したことで、〝妖刀 新月〟の呪縛から放たれたみたい。おかげで成仏できるわ」

「愛しの朱正さんも迎えに来てくれたみたいですし、仲良くやってくださいよ」

私も笑顔で囁き返す。

「当たり前でしょう。それから、神崎小夜、〝妖刀 新月〟の力は、消滅するわ。〝代償〟なんて難しいこと考えないようにね」

私が小さく頷いたのを確認すると、牡丹は、再度、朱正に可愛らしい笑顔を向けた。

牡丹の笑顔に、私の顔も自然と緩んだ。

「色々とごめんね、恵」

いつの間にか、隣で一緒に空を見上げていた恵に、謝った。

「終わり良ければ全て良しってね」

恵らしい返しに、私は、目一杯の笑顔を向けた。