「……。」

出来ないのよ、そんなこと…

唇が震える。

私が〝妖刀 新月〟を握っていられるのは、あと数秒もないはずだ。

「ごめんなさいっ!恵!」

「いやぁぁぁぁああ」

恵の悲鳴がつん裂く中、私は、刀を振りかぶった。

「神崎っ、止めろ!」

その声と共に手首が掴まれ、強い力で後ろに引かれる。

瞳の端に映るのは、清宮だった。

清宮、なんで、あんたがここにいるわけ?

「なんで、こんな時まで私の邪魔ばっかりするのよ!」

私は、清宮の腕を無理やり振り切り、結城の腹を切り裂いた。