放課後も華麗に手厳しく清宮をまいた私は、結城神社の鳥居をくぐった。

背中には、あの紅牡丹の竹刀袋が括り付けてある。

神崎神社、清宮神社、と共に陰陽御三家と並び称される結城神社だが、私が足を踏み入れるのは、初めてだ。

「ここが結城神社か…まぁまぁ、立派ね。いやね、神崎神社の方が立派だけど」

私は、神社の娘らしく、結城神社に、批判を交えた適当な評価をつけた。

「そういう評価は、心の中でしてくれる?」

声に振り返ると、学校帰りと思われる結城の姿があった。

「今後の参考にするわね、でね、結城くん、あなたに会いに来たんだ」

私は、背中の竹刀袋を丁寧な手つきで外していく。

私の様子に結城が何故か慌てた声を出した。

「ちょっと待て、今日は、無理…明日にしてくれない?」

私は、結城の申し出を即座に却下する。

「無理、私、決着は、早くつけたい人なのよ」

牡丹に許された三十秒の間に、結城に一度でも〝妖刀 新月〟の刃を入れることが出来れば、私の勝ちである。