それからも清宮は、昼休み中、私についてまわった。

「ついて来ないでくれますか?」

「俺もこっちに用があるんだ!」

この会話は、数えで二十八回目である。

そして、二十九回目の時、私は、強行策に出た。

「ついて来ないでくれますか?」

「俺もこっちに用があるんだ!」

「へぇ、女子トイレに何の用ですか?」

私は、わざとらしく片眉を上げる。

そう、ここは、ピンクのタイルが眩しすぎる〝女子トイレ〟だった。

そして、私は、あからさまな〝漫画女子悲鳴〟を高らかにあげた。

「キャーーー、清宮くんの変た…」

清宮の手が私の口元に瞬時にまわり、悲鳴を遮る。

そして、清宮は、カッコ悪い捨ゼリフを残し、そそくさと退散した。

「騙しやがって、神崎、覚えてろよ!」

「ったく、困っちゃうなぁ、男の子は」

私は、ため息を吐いた。