新月の輝くとき

周りで生徒の悲しそうなうなだれ声が聞こえる。

「ったく、あんたの一緒だとロクな事が起こりゃしないわ、清宮！」

グチグチと不満を垂れる私に、清宮が囁いた。

「おい、早く、逃げんぞ。ここの食堂のおばちゃん、怒らせると本気で怖いらしいから…」

珍しく狼狽を見せる清宮に、私が驚いていると、背後から地響きのような声がかかった。

「それは、私の事かい？」

恐る恐る振り返ると、料理包丁を手にした中年女性がにんまりと口角を上げている。

笑顔だが、纏うオーラに恐怖を感じる。

その料理包丁に命の危機を感じた私達は、回れ右して逃げ出した。

その私達の背中にドスのきいた怒鳴り声が降りかかる。

「料理ってものは、感謝していただくもんだ！今後、一切、来るんじゃないよ！」