新月の輝くとき

その小さな物憂げな立姿が、昔話の一節とシンクロする。

私は、ある強い確信を胸に、牡丹に声をかけたのだった。

「〝妖刀 新月〟に取り憑いているのは、あなたですよね、牡丹さん」

牡丹は、暗い眼光をはなちながら真っ直ぐ私を見据えてきた。

「えぇ。だから〝妖刀 新月〟に触れることが出来るのは、朱正さんだけなんです。神崎小夜、あなたには、触れさせません」

「でも、その明石朱正さんは、もう既にこの世にいないわ」

私の言葉に牡丹は、悔しそうに顔を歪める。

ギリッと強く噛むその唇に血を滲ませている。

「それでも…これが私の唯一の愛し方なんですよ」