その姿を見た者は〝武士失格〟と罵った。

それから、朱正は、何もしなくなった、いや、出来なくなった。

狭い部屋の隅に佇み、ぼんやりと物思いにふけっているようだった。

牡丹が連れ出されて四日目の明け方。

牡丹と立ち変わるように朱正の家に持ち込まれたのは、一本の刀だった。

その刀を依頼したのは、朱正の友人だった。

朱正の無気力病のような姿を心配した友人は、山天狗に頼み込み、研ぎ師である彼の心を掴む美しい刀を用意したのである。

それが後の〝妖刀 新月〟である。