「わしが火を見ているから、お嬢ちゃんは、ゆっくりおやすみ。それから、お嬢ちゃんは、優しい子だよ。」
天狗の老人の掠れたような声が、私の額にかかる。
「どこが?」
自らの言葉尻に刺々しさを感じた。
老人の苦笑が響く。
「〝どこが?〟って、清宮家の坊主、斬れなかったんだろ?」
私は、その時、瞼の裏にこびりつくように残された清宮の顔を見た。
そして、何故か焦燥を覚えた私は、炎と老人に背を向け、静かに答えた。
その自らの声に〝私が弱さと呼ぶもの〟の一端を感じた。
「優しくなんかないんですよ。心を殺せない私のせいで、傷ついた人を見てきたもの。中途半端に斬ることは、相手の心に傷を刻むことと同等の行為なんです」
その後は、天狗の老人は、何も聞かなかったし、私も声をかけることはなかった。
それからどれほど経ったのか、眠れないことに苛立った私は、眼を薄く開いた。
その日、私は、初めて、満天の星空というものを見た。
天狗の老人の掠れたような声が、私の額にかかる。
「どこが?」
自らの言葉尻に刺々しさを感じた。
老人の苦笑が響く。
「〝どこが?〟って、清宮家の坊主、斬れなかったんだろ?」
私は、その時、瞼の裏にこびりつくように残された清宮の顔を見た。
そして、何故か焦燥を覚えた私は、炎と老人に背を向け、静かに答えた。
その自らの声に〝私が弱さと呼ぶもの〟の一端を感じた。
「優しくなんかないんですよ。心を殺せない私のせいで、傷ついた人を見てきたもの。中途半端に斬ることは、相手の心に傷を刻むことと同等の行為なんです」
その後は、天狗の老人は、何も聞かなかったし、私も声をかけることはなかった。
それからどれほど経ったのか、眠れないことに苛立った私は、眼を薄く開いた。
その日、私は、初めて、満天の星空というものを見た。


