パチッ…パチッパチ

火の粉の弾ける音が聞こえる。

そして、身体に異常な熱さを感じる。

私は、薄く眼を開けた。

近くに火がおこしてあり、轟々と音を立てているようだった。

熱さで頬に痛みを感じた私は、焚火から少し離れようと身体を起こした。

深傷を負い、重いはずの身体は、何故か随分と楽に起こすことができた。

私は、見渡しながら、状況を整理しようと頭を無理に働かせる。

しかし、辺りが暗いせいで、周りに竹藪が広がっていることくらいしか分からなかった。

「何処だろう…ここ。もしかして、私、地獄に堕ちたとか?それにしても、地獄って殺風景ね〜」

すると、暗闇から含んだような笑い声が聞こえてきた。

「天国だとは、考えないのかね?お嬢ちゃん。」

声のした方をじっと見つめていると、しばらくして、赤ら顔の老人が暗闇から現れ、焚火の炎がその顔が照らしだした。

その老人は、どれだけ自慢すれば、ここまで伸びるのか、と考えさせるような長い鼻をしきりにさすっていた。

その特徴的な鼻に一目で大天狗だと見当がついた。