身体中に剃刀で切られる痛みを感じ、耐え忍ぶように目を瞑り、走り続ける。

眩しさを覚え眼を開くと、視界に雲ひとつない青空が広がっていた。

繭を抜けたのだ。

その瞬間、背後でズシャッと音がして、背中に想像を絶するような痛みが走った。

かなりの深傷に違いない。

しかし、私は、立ち止まらず、清宮だけを目指して脚を前に進めた。

立ち止まったら、きっと倒れる、私の限界を迎える。

何故だか強い確信があった。

あと十メートル。

あと五メートル。

あと一メートル。

私は、刀を大空に掲げ、清宮に勢いよく飛び掛った。

刀に重さを感じた瞬間、清宮の身体が宙に押し上げられ、背後の大イチョウに強く打ちつけられた。