☆
「ほら、早く乗れよ。」
そう言って、清宮が手で促すのは、二輪自動車、通称バイクだった。
私は、恐る恐る聞く。
「あの、清宮くん?免許の方は?」
「持ってるにきまってんだろ!お前も少しは、俺のこと信用しろよ。」
清宮が大きなため息を吐き、私にヘルメットを投げる。
私は、清宮に笑いかけて軽口をたたく。
「安全運転でお願いね。まだ若いし、お陀仏になりたくないもの。」
バイクに軽快に揺らされる私の頬を冷たい二月の風が掠める。
私は、引っかかっていることをたずねた。
「清宮、今回の討伐の目的は?」
「……。」
何も言わない清宮に焦れた私は、清宮の肩を揺する。
「ねぇ、清宮…」
清宮が重そうな口をゆっくりと開いた。
「酒呑童子の時の山火事。親父たちは、あれを山天狗の仕業と見ている。正義とされる陰陽道に刃向かう妖は裁く、それが習わしだ。」
「でも、あれは…結城の仕業でしょう?」
「結城をあの場で逃したのは、俺達が勝手にした事だ。結城のやった事を親父たちは、知らない。それに、逃した事が知れれば、後が厄介だ。」
諭すように語る清宮に、私は、強く反論する。
「正義である陰陽道が、罪なき妖を裁く事が許されるはずないわ。」
「だったら、どうするんだ?」
私には、何も答えられなかった。
そんな自分が悔しくて強く噛み締めた唇は、鉄の味がした。
「ほら、早く乗れよ。」
そう言って、清宮が手で促すのは、二輪自動車、通称バイクだった。
私は、恐る恐る聞く。
「あの、清宮くん?免許の方は?」
「持ってるにきまってんだろ!お前も少しは、俺のこと信用しろよ。」
清宮が大きなため息を吐き、私にヘルメットを投げる。
私は、清宮に笑いかけて軽口をたたく。
「安全運転でお願いね。まだ若いし、お陀仏になりたくないもの。」
バイクに軽快に揺らされる私の頬を冷たい二月の風が掠める。
私は、引っかかっていることをたずねた。
「清宮、今回の討伐の目的は?」
「……。」
何も言わない清宮に焦れた私は、清宮の肩を揺する。
「ねぇ、清宮…」
清宮が重そうな口をゆっくりと開いた。
「酒呑童子の時の山火事。親父たちは、あれを山天狗の仕業と見ている。正義とされる陰陽道に刃向かう妖は裁く、それが習わしだ。」
「でも、あれは…結城の仕業でしょう?」
「結城をあの場で逃したのは、俺達が勝手にした事だ。結城のやった事を親父たちは、知らない。それに、逃した事が知れれば、後が厄介だ。」
諭すように語る清宮に、私は、強く反論する。
「正義である陰陽道が、罪なき妖を裁く事が許されるはずないわ。」
「だったら、どうするんだ?」
私には、何も答えられなかった。
そんな自分が悔しくて強く噛み締めた唇は、鉄の味がした。