「うわ、完全なる徹夜…」

クタクタの状態で教室に辿り着いた私は、一人で呟く。

今日は〝バレンタインデー〟である。

これでもかと言わんばかりにおめかしした女の子が、好意を抱く人に想いを伝えるという可愛らしいイベントである。

そんな日に、私は、目の下に大きなクマが目立つげっそりとした顔をしていた。

私もチョコレートを作るために睡眠時間を削る羽目になったのだ。

立っていても、徐々に下がってくる瞼にげんなりする。

しかし、無意識のうちに大欠伸をかましてしまわないように、顔の神経だけは過敏になっていた。

生ける屍のような私は、机に突っ伏した。